世界に通用する 「スマートシティ」プロジェクトが本格始動

【経済界大賞】

岩沙弘道氏(三井不動産会長)

 福島原発の事故をきっかけに、国民は原発に大きな疑念と関心を持つようになった。従来もCO2削減を目的に太陽光発電などが話題を集めてはいたが、大震災後は国も「脱原発」で、長期的には原発依存を減らして、再生可能エネルギーへシフトすることを本格的に検討し始めた。
 環境・エネルギー問題は都市開発を担うデベロッパーにとって、避けては通れない。居住者に安全・安心で長く住める街づくりを提供するのはもちろんだが、環境に配慮したエネルギー利用も重要なテーマとなった。
 その究極の形が環境配慮型未来都市と呼ばれる「スマートシティ」構想である。全国的にいくつものプロジェクトが立ち上がっているが、国内最大規模のスケールと、その先進性で抜きん出ているのが三井不動産だ。
 同社が主導して進めている「柏の葉キャンパスシティ」(千葉県柏市)の事業は、つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス駅」周辺の273㌶の敷地に、将来は2万6千人が住む壮大な計画だ。岩沙弘道会長には「国家的な課題解決型の街づくりとして、将来はこのビジネスモデルを世界各国に輸出できるようにしたい」との熱い思いがある。
「柏の葉キャンパスシティ」において、本格的なスマートシティ建設に着手したのは昨年。2000年からマンション、オフィス、商業施設などを複合的に順次開発してきたが、そこに太陽光などの再生可能エネルギー発電システムを導入して「創エネ」し、蓄電池や電気自動車などで「蓄エネ」する。さらには電気、ガス、水道使用量などの〝見える化〟で「省エネ」を図り、スマートグリッド(次世代送電網)を使って街全体のエネルギー効率の最適化を目指すのがスマートシティである。
 エネルギー関連の情報を一元管理する「柏の葉スマートセンター」は駅前街区に設置され、日々の情報は地域住民、テナント、来街者へリアルタイムに共有され、地域全体で省エネへの意識を高める。その技術的中核となる「エリアエネルギー管理システム」の構築では日立製作所やシャープなど約20社によるコンソーシアムが組まれた。またスマートシティにはエネルギーだけでなく、地産地消で自然との共生を目指す「健康長寿都市」、そして地域の研究施設の智恵とビジネス界をつなぐ「新産業創造」というテーマもある。
 安全、安心でサスティナブルな街づくりは、従来の都市開発の殻を破った画期的かつ意欲的な取り組みであると同時に、復興が急がれる東北の再生にも貢献できるものである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください