観光を核に日本を元気にするために東奔西走

【経済界大賞】

溝畑宏氏(観光庁長官)

溝畑宏氏(観光庁長官)

 プロサッカーチームの大分トリニータの運営会社社長から観光庁長官に転身。以来、日本はもとより海外にも足を伸ばし、観光を核に日本を元気にする〝旗振り役〟を務めている。
 京都に生まれ、東京大学法学部を卒業後、自治省に入省。大分県企画部次長として、2002年FIFAワールドカップの試合誘致、立命館アジア太平洋大学設立を担当。その後、自治省に復帰し、市町村合併を担当したが、翌年には再度大分県に出向し、企画部参事として大分フットボールクラブ取締役ゼネラルマネージャー、大分県企画文化部長、大分フットボールクラブ代表取締役を経験している。
 昨年は東日本大震災と津波、それに伴う原発事故に見舞われ、風評被害もあって外国人旅行者の激減という逆風が押し寄せた。これを溝畑氏は、明治維新、第2次世界大戦による敗戦に続く〝第3の開国〟ととらえ、ピンチをチャンスにするきっかけにしたいと、日本の観光営業広報マンとして東奔西走した。
 営業の真髄はトップセールスとの考えから、フェイストゥフェイスで「心」を伝えるために「来てほしい」「助けてほしい」と中国、韓国を行脚して回った。
 また日本の正確な情報発信にも努め、日本政府観光局(JNTO)のホームページで英語、中国語、韓国語により、国内の主要観光地の福島第一原子力発電所からの距離、東北新幹線の運行状況、放射線量などを詳細に公開し続けた。日本政府だけでなく、国際原子力機関(IAEA)を含めた外国の国際機関による福島第一原発事故の状況に対するコメントも付けた。
 各県知事、経済界の重鎮から協力を得て、ブロックごと、業界ごとに積極的に日本の安心安全をアピールしてもらうことにした。旅行会社やメディアを招聘し、日本の状況を正しく伝えてもらうようにすると同時に、海外の有名アーティストにも働き掛け、日本は安全であり、訪日を呼び掛けるコメントを発信してもらうことにした。
 観光は旅行業、宿泊業、輸送業、飲食業、土産品業者など極めて裾野の広い産業だ。その経済効果は極めて大きく、08年度で2次的な経済波及効果を含む生産効果は、国内生産額972・0兆円の5・3%の51・4兆円、雇用効果は総雇用6445万人の6・7%の430万人と推計している。〝21世紀のリーディング産業〟と目される所以だ。観光庁は昨年12月半ば、訪日3千万人時代を見据えた外国人観光案内所の在り方を検討するため、4回目となるワーキンググループを開催した。12年も溝畑氏は席の温まる日が少なそうだ。

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