「3・11」では業界の底力を結集して 国民生活を支え続けた

【経済界大賞】

伊藤直彦氏(日本物流団体連合会会長)

 先の「3・11」では大津波や原子力災害の深刻さと並んで、「物流」の重要さに国民の耳目が集まった。
 今回の震災において、物流業界は総力を挙げて取り組んでいる。
 被災地においてガソリンが枯渇し、救急車・消防車さえ動けなかった。こうした事態に対し、日本海側を迂回する1千㌔㍍もの緊急石油列車を運転して鉄道魂を発揮したことは、記憶に新しい。幹線道路の復旧を待って、ただちにトラックが一大物流ルートを構築。輸送量で勝る船舶も被災地への物資補給で大活躍した。
 被災者の手元まで確実に荷物を届け続ける「宅配便」の活躍ぶりも、「ラスト・ワンマイル」をつなぐ懸け橋として忘れてはならないだろう。
 もちろんこのほかにも、大量の物資を蓄え、送り出し、受け入れた倉庫の奮闘ぶりも讃えるべきだろう。日頃、水や空気のように「当然」と思っていた「物流」。その大切さを、奇しくも「3・11」が消費者に再確認させたことになる。
 翻って、「日本物流団体連合会」。わが国の陸(トラック、鉄道貨物、倉庫)、海(船舶)、空(航空機)といった物流業界を束ねる一大組織であり、カバーする物流市場の規模は実に26兆円。新幹線を筆頭とする「旅客」、つまり「人流」の市場規模約13兆円の実に2倍にも達する巨大マーケットだ。
 物流連の発足は1991年。2011年で「満20歳」の節目を迎えた。
 そして同年6月末、第6代会長として就任したのが、日本貨物鉄道(JR貨物)相談役名誉会長の伊藤直彦氏。国鉄改革において最も厳しいといわれていたJR貨物の社長・会長を11年間務め、鉄道貨物輸送の信頼を回復させた功績は大きい。
 今回の重責を担うにあたって、「長引く景気低迷に少子高齢化、産業の空洞化、過当競争など業界を取り巻く環境は厳しくなる一方です。また大きな課題である、わが国の『トラック偏重』のいびつな輸送体系も早急に是正しなければなりません。中長距離輸送の大半を鉄道貨物や船舶にシフトさせバランスの取れた体系を構築すれば、CO2削減の効果も大きいのです。しかしそれ以前に重要なのは、物流業界各機関のそれぞれの役割をもっと国民の皆さんに知ってもらうことでしょう」と、伊藤氏は熱く語る。
 歯に衣着せない性格を引っ提げ、「業界の宣伝部長」を自負する「伊藤物流連」がいよいよ本格始動する。

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