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司法書士試験は独学 or 通信講座?合格者に学ぶ勉強法と教材の選び方

司法書士試験は、法律系国家資格の中でも特に難易度が高いと言われます。

試験範囲が広く、出題形式も択一・記述に分かれており、合格率は例年3〜4%台。

こう聞くと「独学ではとても無理では?」と感じる方も多いかもしれません。

しかし実際には、独学で合格している人は一定数います。そしてその多くに共通しているのは、やり方を最初に決めて、継続して改善するという姿勢です。

ここでは、独学合格者の特徴や、つまずきやすいポイント、自分に向いているかどうかの判断基準を紹介していきます。

目次

司法書士試験の具体的な難易度について

まず、司法書士試験はどの程度の難易度なのか知っておきましょう。

過去の合格率について以下の表を見てください。

年度受験者数合格者数合格率
2024 (令和6)13,9607375.27 %
2023 (令和5)13,3726955.20 %
2022 (令和4)12,7276605.18 %
2021 (令和3)11,9256135.14 %
2020 (令和2)11,4945955.17 %
2019 (令和元)13,6836014.39 %
2018 (平成30)14,3876214.31 %
2017 (平成29)15,4406294.07 %
2016 (平成28)16,7256603.24 %
2015 (平成27)17,9207073.25 %
2014 (平成26)20,1307593.09 %
2013 (平成25)22,4947962.91 %
2012 (平成24)24,0488382.85 %
2011 (平成23)25,6968792.81 %
2010 (平成22)26,9589482.86 %
2009 (平成21)26,8609192.80 %
2008 (平成20)26,2789142.90 %
2007 (平成19)26,8609192.80 %
2006 (平成18)26,2789142.90 %
2005 (平成17)31,0618832.80 %
2004 (平成16)28,4547902.80 %
2003 (平成15)2.80 %
2002 (平成14)25,4167012.80 %
2001 (平成13)23,1906232.70 %
2000 (平成12)2.70 %
1999 (平成11)2.60 %
1998 (平成10)2.60 %
1997 (平成9)2.50 %

参考リンク:法務省 司法書士試験

合格率自体は、年々上がってきてはいますが、それでも5%程度と20人に1人程度しか通らないのが現状です。

昔と比べて合格率が上がっているのにはいくつか理由があります。

合格率が「約 2〜3 %台 → 5 %前後」へ上昇した主な理由

要因概要合格率への影響度
① 受験者数の減少と質の変化2000 年代前半は 3 万人規模だった受験者が、直近は 1.3 万人程度まで半減。「とりあえず受ける」層が減り、最初から対策を整えた本気組が占める割合が増えた。相対的に合格率が上がりやすくなる
② 合格者“人数”を目安にした採点調整法務省は毎年 6〜8 百人程度の合格者確保を目安にしており、受験者が減れば合格率は機械的に上昇する構造。合格率を押し上げる
③ 記述式配点の拡大と出題バランスの最適化2019 年度以降、記述式が 140 点(全体 40 %)に固定され、択一だけで合否が決まりにくくなった。演習量で差を付けやすく、予備校や通信講座を使う受験生が有利に。学習環境が整った受験生の合格率が向上
④ 学習インフラの進化スマホ教材・オンライン講座・AI 問題演習などで「スキマ学習」が可能に。独学でも高密度にアウトプットを積めるようになり、平均得点が底上げ。実力底上げ → 合格率上昇
⑤ 法改正・試験範囲の整理2020 年民法大改正以降、改正条文が定着。受験校が最新傾向を迅速に反映し、対策が標準化。「未知の論点」で落とされるリスクが低下
⑥ 社会人受験生の増加30〜40 代の転職・独立目的層が中心になり、資金力を活かして通信講座や模試をフル活用。学習効率の高い受験生が母数に占める割合が拡大。

合格率を押し上げる

司法書士試験が難しいと言われる理由には、いくつかの明確な要因があります。

まず、出題される科目が11もあり、どの科目も重要なため「捨て科目」が作れません。

次に、午前・午後・記述のそれぞれに基準点(足切り)が設けられており、どれか1つでも下回れば不合格になる仕組みです。

さらに、記述式問題の配点が全体の4割を占めており、登記実務に近い正確な文章作成が求められます。

試験は相対評価で、合格率は毎年一定でも、合格点はその年の難易度や平均点で変動します。

そして何より大きいのが、合格に必要な勉強時間が約3,000時間とも言われ、働きながら継続して学習を続ける力が問われる点です。

こうした複合的な要因が、司法書士試験を非常にハードな資格試験にしています。

とはいえ、3,000時間といわれても実感が湧きにくいかもしれません。

そこで、実際に1年・2年・3年といった期間で合格を目指す場合、どれくらいの勉強時間を日々確保すればよいのか、モデルケースを見てみましょう。

独学合格者によくある習慣は「続ける工夫」と「自己チェック」

独学で合格した人に話を聞くと、よく出てくるのが「自分なりのルールを決めて、それを守っていた」というエピソードです。特別な方法というより、続けるための仕組みを自分でつくっていたことが特徴的です。たとえば、次のような習慣が見られます。

区分試験時間出題形式科目・問題数配点
午前の部9:30〜11:30(2h)多肢択一憲法 3/民法 20/刑法 3/商法・会社法 9(計35問)105点(3点×35)
午後の部(択一)13:00〜14:40(1h40m)多肢択一民訴 5/民執 1/民保 1/司法書士法 1/供託 3/不登 16/商登 8(計35問)105点(3点×35)
午後の部(記述)14:40〜16:00(1h20m)記述式不動産登記 1問・商業登記 1問140点(70点×2)
合計72問350点
  • 毎日21時から2時間など、勉強開始時間を固定する
  • スプレッドシートやアプリで進捗を“見える化”する
  • 週に1度、学習内容をノートにまとめる振り返りタイムを設ける
  • 通勤中に音声講義を聞く・お風呂で暗記するなどスキマ時間を活用する

独学では誰かに管理されることがないぶん、こうした自分を見張る仕組み”を持っている人ほど、合格に近づきやすくなります。

また、勉強法については、「いろんな教材に手を出す」のではなく、1冊を徹底的に使い込むタイプの人が多いのも特徴です。教材を次々と変えてしまう人は、逆に成績が伸びづらい傾向があります。

途中であきらめてしまう人に多いのは「なんとなく勉強」のパターン

一方で、独学で途中リタイアしてしまう人には、よくある“つまずきパターン”があります。たとえば、次のようなケースです。

  • とりあえず始めてみたけど、すぐに続かなくなった
  • いろんな教材に手を出したけど、どれも中途半端で終わってしまった
  • 試験日を意識せずに勉強していたら、いつの間にかズレていた
  • やることが多すぎて、優先順位が分からなくなって焦った

こうした人に共通しているのは、「何となくで始めてしまっている」「学習の目的や計画が曖昧」という点です。その結果、数ヶ月でモチベーションが切れてしまい、勉強が止まってしまいます。

司法書士試験は、1年単位で取り組む長期戦です。だからこそ、始める前に「この教材を使う」「この時期までにここまでやる」という大まかな方針を決めておくことが欠かせません。


独学は、最初決めた方針でその後の9割が決まと考えてよいでしょう。

ひとりで勉強できる人の特徴は「調べる力」と「マイペースさ」

そもそも、独学が向いている人とは、どんなタイプなのでしょうか。すべての人に合う方法ではないからこそ、自分が独学に適しているかを最初に見極めることが大切です。

次のような特徴に当てはまる人は、独学でも十分に合格を狙えるタイプです。

向いている人の特徴具体的な傾向
疑問点を自力で調べられる解説が分からないときにネットや書籍で調べる習慣がある
学習計画を自分で立てられる試験日から逆算して、自分のペースでスケジュールを組める
モチベーションを自分で保てるSNSやアプリなどを活用して、ひとりでも気持ちを維持できる
人に頼らず学習を続けられる他人のペースに左右されず、黙々と取り組めるタイプ

一方で、以下のような傾向がある人は、独学がうまくいかないことが多いため注意が必要です。

  • 分からないことがあっても、そのままにしてしまう
  • その時の気分で教材を変えてしまう
  • 時間管理が苦手で、予定通りに進まないことが多い

独学で合格している人は、単にコツコツ続けられるだけでなく、自分の弱点やつまずきポイントを早めに把握し、それを補う工夫ができている人が多いのが特徴です。

毎日コツコツ勉強を続けられれば独学でも十分に合格を狙える

司法書士試験を目指す人がまず気になるのが、「結局どれくらい勉強すれば受かるのか?」というところです。よく言われるのが、「合格には3,000時間くらい必要」という目安。でも、3,000時間と言われても、それが多いのか少ないのか、どんなペースで進めればいいのか、いまいち実感が湧きにくいのが本音ではないでしょうか。

ここでは、この「3,000時間」という数字の根拠や、実際にどんなスケジュールを組めば現実的なのか、さらに仕事や家事で忙しい人がどうやって勉強時間を捻出しているのかといったポイントを、無理のない独学プランを立てるための視点から解説していきます。

よく言われる“3,000時間”はどこから出た数字なのか

司法書士試験は、民法や会社法、不動産登記法、商業登記法など、11科目以上の法律知識が問われる広範な試験です。しかも、ただ暗記するだけではなく、択一式と記述式の両方に対応しなければならないため、インプットとアウトプットのバランスも重要になります。

この“範囲の広さと深さ”が、よく言われる「合格には3,000時間」という学習時間の根拠です。

実際、大手の予備校では、初学者向けのカリキュラムだけでも講義と演習で1,000〜1,200時間ほどが標準とされています。

そこに、自宅での復習や過去問の反復、記述式の練習などを積み重ねていくと、最終的には2,500〜3,000時間くらいの勉強時間が必要と考えられています。

もちろんこの時間はあくまで目安です。すでに法律を学んだ経験がある人は、もう少し短くても合格圏に届くことがありますし、まったくの初学者であれば、少し余裕を見た時間設定が現実的です。

大切なのは、自分の現在地を見極めて、無理なく継続できる学習スケジュールを組むことです。

1年・2年・3年で受かる人のスケジュールにはそれぞれのパターンがある

「3,000時間って、実際どれくらいの期間でこなせるんだろう?」
これは、独学で司法書士試験を目指す人が必ず一度はぶつかる疑問です。ここでは、学習期間ごとの目安を時間ベースで整理してみました。

学習期間週あたりの勉強時間1日あたりの目安向いているタイプ
1年で合格を目指す約58時間1日8〜9時間専業受験生や時間に余裕がある人
2年で合格を目指す約29時間1日4時間夜と休日にしっかり時間が取れる社会人や主婦層
3年で合格を目指す約19時間1日2.5時間前後フルタイム勤務や子育て中など忙しい人向け

たとえば、平日は2時間、土日に各5時間といったペースで勉強できれば、週19時間=3年計画が無理なく達成可能です。一方で、時間に余裕がある人は、1年で一気に仕上げる「短期集中型」にも十分チャレンジできます。

大切なのは、自分の生活に無理のないペースをあらかじめ決めておくこと。最初に無理な目標を立ててしまうと、途中で挫折しやすくなります。生活スタイルに合ったスケジュールをベースに、現実的な合格プランを立てていきましょう。

まとまった時間が取れない人ほど「毎日の積み重ね」が大事になる

仕事や育児で忙しい人にとって、司法書士試験のいちばんの課題は「どうやって勉強時間を確保するか」という点です。1日3時間以上しっかり取るのは現実的ではない、という方も多いと思います。

ただ実際には、1日2〜3時間のスキマ時間をうまく活用して合格している人も少なくありません。たとえば、こんなふうに勉強時間を細かく分けて積み上げているケースがあります。

  • 朝30分:テキストで前日の復習
  • 通勤中40分:音声講義+スマホで用語チェック
  • 昼休み20分:過去問を1問だけ解いて解説を読む
  • 夜90分:記述の演習とその日のまとめ

このように、まとまった時間が取れなくても、小さな時間をつなぎ合わせることで、1日2.5〜3時間程度の勉強時間はつくれます。

大切なのは、「週末にまとめてやる」よりも「毎日こまめに続ける」こと。こまめに取り組んだ方が記憶が定着しやすく、自然と勉強の習慣も身につきます。

音声講義やスマホ教材など、すぐに取りかかれるものを手元に用意しておくだけで、忙しい日でも勉強のペースを崩さずに進めることができます。時間が足りないと感じている人ほど、こうした積み重ね方が合格につながりやすくなります。

通信講座を使えば勉強に迷わず集中できるようになる

独学は自由度が高いぶん、「何から始めればいいのか」「どんな順番で進めれば効率的か」が分からず、手が止まってしまうこともよくあります。こうした迷いによる時間のロス”をなくしたい人にとって、通信講座は大きな助けになります。

通信講座には、次のようなメリットがあります。

  • 学ぶべき順序が最初から整理されている
  • 必要な教材がすべて一式でそろっている
  • 質問対応や進捗サポートが用意されている
  • 模試や記述対策も含めて一貫したフォローが受けられる

特に、仕事をしながら勉強している人にとっては、「教材を探す」「スケジュールを考える」といった準備に時間を取られないことが大きな利点になります。

通勤中やすきま時間に使える教材があるとグッと楽になる

勉強時間をうまく確保するためには、「耳」と「手のひら」を使ったスキマ学習の取り入れ方がポイントになります。最近では、移動中やちょっとした空き時間でも使いやすい学習ツールがいろいろと出てきています。

たとえば、こんなツールが活用されています。

ツール活用のしかた
音声講義通勤中や家事をしながら耳で学習できる
スマホ用の暗記アプリ択一式の正誤チェックや重要語句の復習に便利
オンライン教材電車の中やちょっとした空き時間に過去問や動画を確認できる

中でも音声教材は、テキストを開けない状況でも耳で理解を進められるため、忙しい人ほど取り入れたいツールのひとつです。

また、独学で長く学習を続けていくには、教材の「使いやすさ」も大切なポイントです。紙のテキストだけでなく、スマホやPCでも同じ内容を確認できるようにしておくと、いつでもどこでも学習が進められます。

最初にこうした学習環境を整えておくだけで、勉強を始めるハードルがぐっと下がり、毎日の積み重ねがしやすくなります。

通信講座を選ぶ人は「できるだけムダなく効率よく学びたい」と考えている

独学と通信講座のどちらで勉強を進めるべきか、悩む人は少なくありません。どちらが良いかは一概に言えず、自分に合う方法を見つけることが大切です。

通信講座を選ぶ人には、ある共通した考え方があります。それは、「なるべく効率よく、ムダなく合格まで進みたい」という思いです。

このパートでは、独学と通信講座の違いや、費用の目安、どんな人に通信講座が向いているかを分かりやすく整理していきます。どちらの学習スタイルが自分に合いそうか、参考にしてみてください。

独学のいちばんの魅力はお金があまりかからないこと

独学を選ぶいちばんの理由として多いのが、「費用を抑えられるから」という点です。司法書士試験は市販教材がかなり充実しているため、数万円あれば必要なツールを一通りそろえることができます。

たとえば、独学にかかる費用は次のようなイメージです。

費用項目内容目安金額
テキスト(10冊前後)オートマシリーズやスタンダードなど約25,000〜35,000円
過去問題集択一・記述あわせて3〜4冊程度約10,000円前後
模擬試験・予想問題書店または通販で購入約5,000〜10,000円
合計約4万〜6万円程度

このようにコスト面では大きなメリットがありますが、注意したいのは、独学では「教材選び」「学習の順番」「スケジュール管理」など、すべて自分で決めなければならないということです。

もしこの部分に不安がある場合、せっかく費用を抑えても、うまく進まず遠回りになってしまうこともあります。価格だけで判断せず、自分に合った学習スタイルかどうかをよく考えて選ぶことが大切です。

通信講座によってサポート内容や教材のわかりやすさには差がある

通信講座というと「動画を見るだけ」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、最近の司法書士向け通信講座は、それぞれ独自のサポート体制や学習設計が充実しており、選ぶサービスによって特徴は大きく異なります。

代表的な通信講座を、価格・特徴・給付金制度の対応状況とあわせて比較しました。

講座名受講料(税込)特徴教育訓練給付制度公式サイト
LEC/S式合格講座49,500円〜スマホ完結、短尺動画、月額プランあり△(S式は対象外/他コースは対象)LEC公式
スタディング/司法書士合格コース49,500円〜スマホ特化、音声DL、AI復習機能付き○(一般教育訓練給付)スタディング公式
フォーサイト/スピード合格講座107,800円フルカラー教材、eラーニング、質問20回フォーサイト公式
ユーキャン/合格指導講座164,000円添削11回、質問1日3問、紙とデジタル併用ユーキャン公式
アガルート/入門総合講義126,720円〜合格率公表、フルカラー教材、講師添削あり×アガルート公式
クレアール/1年スタンダード春コース192,780円〜(キャンペーン価格)質問無制限、学習計画サポート付きクレアール公式
伊藤塾/入門講座 本科生488,000円〜通学併用、模試2回、個別相談あり×伊藤塾公式
TAC/1年総合本科生(Web通信)473,000円(早割あり)担任講師制、模擬試験が豊富、通学併用可TAC公式
東京法経学院/新・最短合格講座346,500円ダウンロード動画、質問12回、合格返金制度あり東京法経学院公式

価格帯は数万円から40万円台までと幅があります。重要なのは、自分の生活リズムや性格、勉強スタイルに合った講座かどうかです。

  • 移動中にスマホで勉強したい人 → スタディング
  • 紙の教材でじっくり理解したい人 → アガルート
  • 困ったときにすぐ質問できる環境がほしい人 → クレアール
  • 通学も視野に入れて学びたい人 → TAC

このように、自分にとって「どんな勉強法が続けやすいか」を軸に比較してみると、無理なく続けられる講座が見つけやすくなります。価格だけでなく、サポートの中身や学習のしやすさもあわせて検討してみてください。

通信講座が向いているのは「時間のない社会人」と「初学者」が中心

通信講座は、次のようなタイプの人に特に向いています。

タイプ通信講座が合っている理由
仕事で毎日忙しい人限られた時間の中でも、カリキュラム通りに学習を進めやすい
法律の勉強が初めての人学ぶ順番がしっかり設計されていて、つまずきにくい
自己管理が苦手な人学習の進捗や記録をサポートしてくれるツールがある
質問や添削を受けたい人講師やサポートスタッフに相談できる環境が整っている
模試や記述対策が不安な人講座の中に演習・添削の仕組みが組み込まれている

とくに独学でつまずきやすいのは、「どの科目から手をつけるべきか分からない」「理解が不十分なまま先に進んでいいのか迷う」といった場面です。通信講座を使えば、あらかじめ学習の順序や必要な演習量が決まっているので、こうした不安や迷いを感じにくくなります。

実際、「自分で進めていたときよりもペースが安定した」「無駄なく学べるようになった」と感じる人も多く、結果として学習効率が高まるケースも少なくありません。

また、最近の通信講座は無料の資料請求や体験講義を用意しているところがほとんどです。いきなり申し込まず、まずは内容を見てみて「これは自分に合いそう」と感じた講座を選ぶ方が、後悔のない選択につながります。

市販の教材でも合格できるけど「選び方」と「使い方」がかなり大事になる

司法書士試験は、市販の教材だけでも十分に合格を目指せる資格です。実際、通信講座を使わずに市販のテキストや問題集だけで合格した人も少なくありません。

とはいえ、どんな教材を選ぶか、そしてそれをどう使っていくかによって、勉強の効率や合格の可能性には大きな差が出ます。市販教材は種類も豊富で、ネットや書店には、基本テキスト、過去問集、記述対策、要点まとめなど、さまざまなジャンルの本が並んでいます。

この中から「自分に合った教材」を見つけ出し、計画的に使いこなしていけるかどうかが、独学で成功するかどうかの大きな分かれ道になります。価格や見た目の印象だけで選ぶのではなく、「自分が使い続けられるかどうか」という視点で選ぶことが大切です。

テキストは「見やすくて理解しやすい」ものが長く続けやすい

インプット用のテキスト(基本書)は、独学者にとって最も大事な教材です。毎日目を通すものだからこそ、「読みやすさ」「見やすさ」「解説の丁寧さ」が勉強の継続率に直結します。

代表的なテキストの例を挙げると以下のようになります。

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合格ゾーンテキスト論点を体系的に整理/各項目に過去問リンクあり学習経験者・論理的に理解したい人Amazonで探す
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どのテキストを使うか迷ったときは、実際に手に取ってみて「読みやすい」と感じるかどうかを大事にするとよいでしょう。文章の雰囲気やページの余白、図や表の入り方など、意外な部分で「合う・合わない」が分かれます。

読みやすさは勉強の継続に直結するので、内容の評判だけでなく、「自分にとってストレスなく読み進められるか」という視点で選ぶのがおすすめです。

過去問は「どんな問題がよく出るか」を知るために最適な教材

司法書士試験の勉強では、過去問重視が基本中の基本です。とくに択一式では、毎年似た論点や形式が繰り返し出題される傾向があるため、「過去問を制する者は試験を制する」といっても言いすぎではありません。

代表的な過去問集は以下のとおりです。

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過去問を選ぶときは、解説のわかりやすさを最優先にすると良いでしょう。
「どうしてこの肢が正しいのか/誤っているのか」が納得できる構成かどうかが、学習効率に直結します。

最初はいろいろ試したくなるかもしれませんが、1つのシリーズに絞って何度も繰り返す方が、知識が確実に身につきます。まずは自分が使いやすいと感じるシリーズを見つけ、徹底的に活用していきましょう。

使う順番と使い方を工夫すれば市販教材だけでも十分戦える

独学で勉強を進める中で、意外と多くの人がつまずくのが「テキストと問題集の使い方」です。ただ読むだけ、ただ解くだけになってしまい、うまく結びつかないまま終わってしまうケースも少なくありません。

そこで参考になるのが、実際に独学で合格した人たちが取り入れていた基本パターンです。以下の3ステップで進める方法が、多くの合格者に共通しています。

STEP
1周目(インプット):まずは全体像をつかむ
  • テキストをざっと通読して、内容の流れをつかむ
  • 試験に出やすい部分や重要そうな箇所にマーカーを引いておく
STEP
2周目(理解+演習):知識をアウトプットに変える
  • テキスト1単元を読んだら、すぐに対応する過去問を解く
  • 間違えた選択肢や迷った問題には印をつけておく
STEP
3周目以降(定着):弱点を重点的に復習
  • 過去問を中心に演習を繰り返す
  • 解説を読み直して、必要に応じてテキストに戻る
  • 間違えた問題だけを何度も繰り返す

このように、インプット → アウトプット → フィードバックのサイクルをしっかり作っておくことで、知識が効率よく定着していきます。

新しい教材にどんどん手を出すよりも、1つのテキストと問題集を繰り返し使いこなすことのほうが、結果的に力がつくというのが、独学合格者に共通する実感です。

「同じ問題を何度も解く」ことで記憶がしっかり定着する

独学でよくある失敗のひとつが、新しい問題集に次々と手を出してしまうことです。「もっと効率の良い問題があるのでは」と感じてしまうのも無理はありませんが、実際に合格している人の多くは、同じ問題を最低でも3〜5回は繰り返して解いているのが実情です。

繰り返し解くことで得られるメリットは非常に大きく、たとえば以下のような効果があります。

  • 問題を見た瞬間に「どこが論点か」が分かるようになる
  • 記憶ではなく、“理解”で正解肢と誤りの肢を見分けられるようになる
  • 試験でよく使われる言い回しやパターンに自然と慣れる

最初は間違えた問題や、少しでも迷った選択肢に印をつけておき、「重点復習リスト」を作っておくと、2周目以降の勉強効率が一気に上がります。

管理方法は人それぞれですが、ノートにまとめるのもよし、スマホのチェックリストやスプレッドシートを使って可視化している人も多くいます。大切なのは、一度解いた問題を放置せず、確実に自分のものにしていくことです。

アウトプット中心の勉強法を続けている人は独学でも合格に近づいている

司法書士試験に独学で合格している人の多くは、知識をただ詰め込むだけでなく、「問題を解くこと」を勉強の中心にしています。この試験では、表面的な理解では通用せず、知識を正確に引き出して選択肢を見分ける力や、記述式で論理的な答案をまとめる力が求められます。

そのため、アウトプットを軸にした学習スタイルが結果につながりやすいのです。

ここでは、合格者によく見られる学習の進め方や、苦手科目の対処法、そして日々の勉強を無理なく続けていくための工夫を紹介します。独学では、自分に合った方法を早めに見つけて、継続できるかどうかが成果に直結します。

とにかく“解いて覚える”人が短期間で力をつけている

インプット中心の勉強に偏ってしまうと、「なんとなく理解した気になる」だけで終わってしまうことがあります。テキストを読むだけで安心してしまい、実際に問題が解けない…というのはよくあるパターンです。

合格者の多くは、こうした“わかったつもり”を避けるために、とにかく手を動かして問題を解くことを重視しています。ある独学合格者は、1日の勉強時間のうち8割以上を問題演習にあて、間違えた問題を翌日の復習に回すサイクルで学習を続けていたそうです。

アウトプットを中心に据える勉強法には、次のような効果があります。

  • 記憶の定着が格段に良くなる
  • 出題のクセや頻出論点に自然と慣れる
  • 実際の試験と近い感覚で練習でき、本番での対応力が上がる

おすすめなのは、「まず読んでから解く」ではなく、「まず解いてみて、あとから理解を深める」という順番です。特に初学者でも、このスタイルを意識すれば、無理なく力をつけていくことができます。読んだだけでは身につきにくい内容も、実際に解くことで理解が深まり、知識が“使えるかたち”に変わっていきます。

苦手な科目の克服には「得意パターン化」と「記述演習の反復」が有効

司法書士試験では、特定の科目につまずく受験生が非常に多くいます。なかでも民法・不動産登記法・商業登記法は出題数が多く、内容の理解も深く求められるため、苦手意識を持ちやすい分野です。

こうした「苦手科目」を克服するには、次の2つの視点がとても有効です。

STEP
よく出るテーマに絞って繰り返す

たとえば、民法なら「意思表示」「代理」、登記法なら「添付書類の判断」など、よく出るテーマだけに集中して演習するだけでも、自然と出題パターンが体に染み込んでいきます。
「あ、この形式また来たな」と気づけるようになると、自信にもつながります。

STEP
記述式は“なぞり学習”からでOK

記述問題は、最初からしっかり書こうとするとかえって挫折しやすくなります。はじめは、答案の「形」だけをまねるような学習でも十分です。慣れてきたら、徐々に内容を自分の言葉に落とし込めるようになります。

っかり書こうとするとかえって挫折しやすくなります。はじめは、答案の「形」だけをまねるような学習でも十分です。慣れてきたら、徐々に内容を自分の言葉に落とし込めるようになります。

また、苦手科目は「後回しにしないこと」が大切です。

朝イチに10分だけ取り組んでみる、スキマ時間に1問だけ触れておく、など触れる頻度”を増やす工夫が効果的です。長時間取り組むよりも、回数を重ねることのほうが苦手意識をやわらげ、得点源に変えていきやすくなります。

学習の継続には進捗の可視化と目標の細分化が効果的である

独学でいちばん難しいのは、「勉強を続けること」です。やる気がある日もあれば、まったく手がつかない日もある。試験日までまだ先だと、どうしてもペースが乱れやすくなります。

だからこそ、学習を習慣にするための“仕組み”をあらかじめつくっておくことがとても大切です。

工夫のポイント内容の例
学習記録をつけるスプレッドシートや学習アプリで、勉強した時間と内容を記録する
チェックリストを活用する週ごとの目標を見える化して、終わったらチェックを入れていく
「やる時間」を決める起きてすぐの30分、毎晩21〜22時など、時間帯を固定する
人に見せる仕組みを作るSNSで進捗を投稿したり、オンライン勉強会に参加する

さらに、「1冊読み切る」「今週で民法を終わらせる」など、小さな達成目標を区切りよく設定するのも効果的です。

最初から「毎日3時間」と気負うよりも、
「今日は過去問を20問だけ」
「テキストを5ページ読むだけ」
といった負担の少ないタスク”を積み重ねるほうが、結果的に継続しやすくなります。

日々のハードルを低くしておくことが、勉強を習慣に変えていくコツです。

このように、独学で合格している人たちには共通する学び方があります。
それは、「手を動かしながら覚える」「つまずいた部分は工夫して乗り越える」「続けるための仕組みを自分で作る」という姿勢です。

ただ教材をそろえるだけでは、合格にはつながりません。


どんなふうに使いこなすか、そしてそれを毎日続けられる環境をどう作るか。
そこに、合格できるかどうかの違いがはっきりと表れてきます。

まとめると司法書士試験は全11科目・350点満点で、合格率はおよそ5%。

難関ではありますが、独学でも十分に合格は可能です。

ポイントは、約3,000時間の学習を1〜3年で計画的に積み上げること、テキストと過去問をしぼって繰り返し活用すること、そして毎日続ける仕組みを自分で作ることです。

通信講座や音声教材は、効率化や迷いの解消に役立つサポート手段として検討するとよいでしょう。

参考リンク一覧(公的情報ソース)

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